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全国でも数少ないトラックやバスの販売、買取り、レンタルを中心に、ここ千葉県で創業して27年。地域に根ざしたアットホームな会社には、人を思いやる精神が溢れていました。社長に誘われ入社してから、早10数年……今では部署を任されるようになった青木さん。多くを語らない社長の機微を感じ取ろうとしているうちに、気が付けば人の感度に敏感な、気遣いが身に付いていました。
◆導かれるままに
学生時代は映画館のアルバイトを中心に、週末は友人に誘われクラブでDJなどもやっていたという、青木さん。映画館のアルバイトは時給580円「当時の地域最安値だったんじゃないかぁ〜」と自虐しつつ、とにかく新作映画をタダで見れることが何より楽しみだったそうです。さらにカメラが趣味で、風景写真を中心に、コンクールにも応募していたとか。優しい風貌からは程遠いいDJの話を掘り下げようとすると、恥ずかしそうに「まぁまぁ……」と話をはぐらかし、自らの危険を察知したのか、感度に敏感な一面を見せてくれました。(笑)
そんな趣味が高じて大学卒業後は、大手のフィルム関係の会社に就職します。しかし大きい所は大きい所でいろいろご苦労があったそう……その後は出版社に勤めたり、フリーで仕事をされたり、紆余曲折な時間も過ごしました。そんな時でした……友人に誘われて行った飲みの席で社長と初めて出会ったのは。全く違う分野でしたが、ご縁に逆らわず、誘われるままに、この世界に足を踏み入れたのでした。
◆仕事は気遣いが大切なんです!
若い頃は、自身の能力を伸ばすことばかり考えていたという青木さん。しかし今は数人の部下を抱え、気が付けば部署のこと、そして会社のことを自然と考えてしまいます。「どうしても周りが気になってしまって……」何か不自由なことは無いか?働きにくい所は無いか?……「イガミがちなことが起きやすいので……」気持ち良く働ける環境を維持することが、部下たちのパフォーマンス向上に繋がり、さらにその積み重ねが会社全体の躍進に繋がると青木さんは考えています。
◆もしかしたら、気遣いは社長の影響!?
取材当日、私も飲み物を出して頂いたのですが、コーヒーからお茶、ジュースに至るまで、数十種類もの中から選ばせて頂きました。そして何とその飲み物は、社員の方々も無料で飲んで良いそうです。休憩室にはお菓子やらパンなどの軽食も常に用意され、社員食堂も全員が無料で利用出来るとか。「実にうらやましぃーーー!(笑)」そんな社員想いの姿勢は社外にも。株式会社カクタでは、千葉ロッテマリーンズ、佐渡ヶ嶽部屋を始め、オリンピック、パラリンピックなども応援しています。地域に根ざした貢献活動、時代がデジタル化しIT化しても、人の息づかい、心遣いを直接感じられる環境で働けることは、幸せなことかも知れません。
◆仕入れは感度が命です
株式会社カクタでは、中古車をメンテナンスして販売しています。そのため毎週行われているオークションに出向いて、必要なトラックやバスを仕入れるそうなのですが、この目利きが非常に大切だと青木さんは言います。仕入れる基準は様々で、もともと綺麗な車両はもちろん、メンテナンスすればまだまだ使えるもの、更にはお客様のご要望に合わせた値段や大きさを考慮して仕入れることもあります。ボロボロでも部品として使える物は仕入れる事があるそうで、クレーンの部分だけが欲しかったり、冷凍車の冷却装置の性能が決め手になって購入することもあるそうです。
青木さんが任されている販売促進部では、メンテナンスを終え、新しく生まれ変わった商品を、ネットに掲載して行きます。1人でも多くの方に見て貰うため、時にはyoutubeなどを使って、商品の良さを伝えることもあるそうです。また、来店されずネットだけを見て購入を検討されるお客様のために、様々な角度から撮った写真を何枚も掲載したり、来店されなくてもストレスフリーな環境を目指しています。
そんな青木さんの心配事は〝納車した車がきちんと動いているか〟です。もちろんしっかり仕上げて販売してますし、何かあっても保証やアフターサービスは万全です。しかし、元々が中古車ということもあって、時に予想もしないことが起きたりするのだそう。「昔、あったんですよ」お買い上げになったお客様からエアコンが効かないと連絡があって、修理しても、修理しても故障してしまって(笑)最終的に2週間で4、5回、あの時は本当にご迷惑お掛けしちゃいました。それ以来、何の連絡が無くても大丈夫かな??と、ついついお客様に連絡をしてしまうそうです。
今後の目標は、インフラの強化。ペーパーレスなどの小さなことから、社内全体の機能性を上げる仕組みを作りたいと、意気込む青木さん。さらに整備工場の新設も決まり、スケジュール管理に負われています。仕事は自己表現、言われる前に考えて行動したいと常に心がけます。人の感度を察することで、自身も気持ち良く働ける……どんなスキルや技術よりも、人を思いやる気持ちこそが、いつの時代も一番なのかもしれません。
(取材・構成 内藤英一)