キャリアは自分の財産。挑戦する“マインド”を絶やさずに。

株式会社マインズ／代表取締役　矢野卓也さん（兵庫県姫路市）

人材派遣業を軸に、人事労務コンサルティングやBPOなどを幅広く手掛ける株式会社マインズ。2022年に代表取締役に就任したのが矢野卓也さんだ。現在の仕事を始めた経緯や今後の展望について伺った。

人材派遣は天職

矢野さんの人生は挑戦の連続だ。

大学を1年で中退した後、縁もゆかりもなかったトラックドライバーの業界に飛び込んだ。3時～翌20時の週6日勤務は当たり前。初めての就職先にもかかわらず労働時間は度を越えていた。しかし、嫌ではなかった。

「一緒に働いている人には恵まれていたので、楽しかったですよ。仕事内容は決して楽ではありませんでしたが、嫌な思い出はありません」

そんな矢野さんが人材派遣業界に初めて関わったのは、21歳のときだった。「スーツが着れる仕事がしたかったから」という理由で営業マンとしての転職先を探していたときに、目に入った企業に転職を決めた。営業の仕事は自分でスケジュールを調整できて自由な点にも惹かれたので興味があったのだと言う。実際に働いてみると、みるみる人材派遣という仕事の魅力にとりつかれた。そして2年後、声をかけられる形でまた別の人材派遣会社に転職を決めた。

あえて同じ業界を選び、その道を突き詰めようと思った理由について、矢野さんは真っ直ぐな瞳で話す。

「人材派遣の仕事は、その人の転職のフェーズに立ち会うということ。つまり、人生におけるターニングポイントに携われるんです。これほどやりがいに溢れた仕事はないと思っています」

そして、24歳で当時の最年少営業所所長にまでのぼりつめた。

仕事で重視すべきは「誰とするか」

4人の部下をとりまとめる重要なポストに就き、25歳で入籍をし、翌年には子どもにも恵まれる――。傍から見たら、絵に描いたような順風満帆な人生である。ところが矢野さんは、27歳で独立を決意したのだ。そして、前職で知り合った5人のメンバーとともに、株式会社マインズを立ち上げる。2008年のことだった。

当然、周囲からは「なぜわざわざそんな挑戦を？」と声をかけられることも多かった。

「ゼロからのスタートだったので、最初のうちは100均で買ったゴミ箱にパソコンを置いて仕事をするような状態でした。周囲からは『せっかく昇進できていたのにもったいない』と哀れみの目を向けられることもありました」

マインズが創業した2008年といえば、リーマンショックまっただなか。世界経済が一気に冷え込み、製造業を中心に派遣社員や契約社員が雇用を打ち切られる「派遣切り」が横行していた。決して楽な時代ではなかった。それでも矢野さんは、迷うことなくマインズに身を委ねることを決めた。なぜなら”働くマインド”が同じ人同士と働けることに、何より喜びを感じたからだ。

「仕事は、何をするかはもちろんですが、誰とするかが大切だと思っています。前職では『絶対にこうはなりたくない』と思ってしまう人が、まわりにたくさんいました。誰かのせいにしてばかりで後ろ向きな発言ばかりの人を見ては『この人たちの逆の行動をすれば、きっと勝ち抜ける』と思い、反面教師にして頑張ってきました。おかげで所長にまで上り詰められたというのもありますが……。だからこそ、同じ志を持って働ける、信用できるメンバーとともに会社を立ち上げたのです。彼らがいるから、彼らと仕事ができるから、何があっても大丈夫だという気持ちで常に前を向けました」

変化を恐れずに挑戦し続ける

現在、マインズは人材派遣を柱に、社労士、国産アサリの養殖事業、BPOと業種を拡大し、一つひとつの特徴をとがらせることでオンリーワンの企業に成長を遂げた。近年では、自立支援や子どもの支援にも力を入れている。

「アサリはミネラル豊富な播磨の海で育てています。養殖や自立支援を手掛ける派遣会社はあまり聞かないと思いますが、サービスを通じて地域社会に貢献できることこそが私たちのモットー。その想いをベースに、さまざまな事業を手掛けているのです」

他の派遣会社はあまり手を出さない、「ゼロ」から事業を作り上げることは、そう簡単なことではない。苦労は必ず伴うし、ときには失敗することもある。それでも矢野さんは、チャレンジし続けたいとまっすぐに言う。

「極端かもしれませんが、動いていないと死ぬくらいの気概で生きています。できない理由を探すのではなく、常にできることを探していきたい。そっちのほうが、人生は楽しいでしょう？」

社長になって2年目。現在、矢野さんはとある資格取得に向けて新たな挑戦中だ。

「実績や結果は会社に残りますが、キャリアは自分の財産になります。財産が増えれば、それだけ人生の選択肢も増える。だから、社員には挑戦と学びを恐れないでほしいと願っているんです。せっかく関わることができた社員のみんなには、人生そのものを豊かにしてほしい。そのためには、自分自身がチャレンジする姿勢を見せていきたいと思っています」

マインズが創業時に掲げたミッションは「一人ひとりの顔と人生が見える会社」。まさに、初心の思いを忘れずに、矢野さんは社員の成長、そして幸せを常に見据えているのだ。

4月には岡山にも営業所を展開。矢野さんの“マインド”はこれからも燃え続ける。

会社概要

株式会社マインズ　

本社所在地：兵庫県姫路市東延末2丁目24番地 アークビル1Ｆ