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「この世は出会いで成り立っている。 だからすべての出会いに意味がある。」

2019.09.272019.09.27
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★レゲエアーティスト・TAKAFINさん(42歳/大阪市)

2003年にメジャーデビューを果たし、以後多くのファンとともにジャパニーズレゲエを牽引してきた、大阪出身のアラフォーレゲエアーティスト。ソロ活動を軸に据えながら、レゲエグループ・MIGHTY JAM ROCKMJR)にも所属。現在19枚目のアルバム制作に取り組み、記念すべき20枚目はもう目の前。そんな輝かしい実績のあるレゲエアーティストでありながら、大阪ミナミのホルモン焼肉店のフランチャイズオーナーでもあります。音楽家として、経営者として、若いころとはまた違った大人レゲエのポジショニングで気づいたものは、ほかならぬ「縁」でした。

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◆実は純粋なレゲエアーティスト

大阪メトロ心斎橋駅にほど近い大阪市中央区博労町。夜6時を回ると漂ってくる、香ばしくジューシーな肉の香りが食脳を刺激します。牛のホルモンを専門に扱ったフランチャイズ焼肉店「デンスケ」心斎橋店。会社帰りのサラリーマンが夜ごと訪れ、ジョッキ片手にホルモン補給し、明日への活力を誓っています。

正式オープンは今年2月。それまでじっくり月日をかけて構想をあたためてきました。レゲエなんだしてっきりジャマイカ料理だと思いきや、「とにかくホルモンが激ウマなんですよ!」と超アピール。「本店が吹田にある有名店で、若いころから大ファンだったんです」。あまりにもホルモンが好きすぎて、縁あって心斎橋店のフランチャイズオーナーに。これまで通りミュージシャン活動を継続しながら、新たに経営者としての道も歩み始めました。

レゲエが好きだから歌い続ける。ホルモンが好きだから店を持つ。好きだと決めたら脇目もふらず突っ走っていく意志の強さと情熱。これまで何度かレゲエアーティストと会う機会がありましたが、どうやらこのモチベーションは彼らに共通したレゲエイズムのようです。

◆たまにはカラオケで「島唄」を

レゲエというと何となくとっつきにくいイメージがありますが、それはただの先入観でした。MVを視聴してみると、親しみの持てるメロディーと韻を踏んだ言葉のオンパレ。ああ、これがレゲエというものかと感心することしきり。声量もあり小手先のテクニックだけで終わらないのは、やはり20年のキャリアならではなのでしょう。

魅力はそれだけではありません。たまたまネットでみつけた若い頃の写真、男前すぎて超ビックリ。イケメンのうえに、声フェチならきっとハートを撃ち抜かれそうなドスの効いた男っぽい声。昔も今も、女性ファンが多い理由がこれでよくわかりました。「いやあ、若い頃と比べて体力は落ちてきてますけどね(笑)」と言いつつ、週に数回はボクシングジムに通って体力づくりも欠かせません。

吹田市出身。中学生の頃、お姉さんのボブ・マーリーのテープを聴いたのがきっかけでした。それを完コピしていたのが「島唄」などのヒット曲を飛ばしたTHE BOOMだったこともあり、「宮沢(和史)さんの影響もかなり受けました。今でもたまにカラオケに行ったらあの歌は必ず歌いますよ(笑)」。そう言われてみれば、声質が似ているかも知れません。

高校時代は梅田のクラブで活動し、19歳の時にジャマイカに1カ月滞在。今まで経験したことのなかった衝撃を、わずか10代の若さで受けた刺激が音楽性のベースになっています。

◆自身を支えている「ジャマイカ愛」

1998年に、現在の活動の基盤となるMJRを結成。以後レゲエ激戦区といわれる大阪を活動拠点に置き、日々のスタジオワークはもちろん全国各地でライブ活動を行ってきました。毎年夏に行われる日本最大級のレゲエフェス「Highest Mountain」(ハイエストマウンテン)では、出演者としてだけでなくプロデューサーの一員としても手腕を発揮しています。

気がつけばレゲエ歴20年。もしかして順風満帆?「自分では苦労したという意識はさほどないんです」。とはいっても色々あったはずです。「いやあ、別になかったような」。レゲエをやめようと思ったことは?「1㎜もありません(笑)」。好きなことを仕事にできるってなかなかないですよ。「歌うことが仕事と思ったこともないです(笑)」。下積みの長いミュージシャンが聞いたら、うらやましいどころか嫉妬しそうな話ですが、こんな人ほど影でちゃんと努力しているに違いありません。

ジャマイカへは毎年1回渡航。現地にしかない空気や解放感に包まれながらスタジオでの時間を大切にしているのは、「やっぱり現地でないと体感できないことがあるからなんです」。若いころの経験を決して思い出だけに終わらせるのではなく、今の自分を10代の自分にシンクロさせてブラッシュアップし続けています。誰にも負けないジャマイカ愛。「もしそれがなかったら、今の自分はなかったと思います」。

◆自然体のアコースティックレゲエ

40代に入って、アコースティックなレゲエにも取り組みつつあります。いわゆるシンセなどの電子音を一切使わず、生楽器だけで演奏する手法。最新のシングル「レゲエでも聴きながら」もその一曲。円熟味を感じさせつつ、いかにも古きよきジャマイカっぽいテイストが味わえます。「若い頃に応援してくれていたファンも、今や同じ年代ですからね。そんなファンも大切にしていきたいですから」。あくまでも自然体。これまでずっと貫いてきたジャマイカ愛がブレない限りは、いくつになってもTAKAFINテイストが変わることはないでしょう。20年経た今も変わらぬイケメンキャラも健在です。

ちょうど40歳を迎えた2年前にリリースされたシングル「縁 ~えん~」。これまで出会った多くの人に感謝の気持ちを言葉で綴った楽曲となりました。「40年の歴史を振り返ってみた時、本当にそう思ったんです。世の中、やっぱり出会いで成り立ってるんやなあって」。歌の中で何度も繰り返されるフレーズが印象的です。「すべての出会いに意味がある」「巡り巡ってゆく道はガイダンス 引き寄せあって超えるDistance」。どんなことも好きで居続けてさえいれば、人を引き寄せ想いは叶うものです。それまさにレゲエの本質です。

(取材・構成/池田厚司)