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「好きこそものの上手なれ」―好きになることで、過酷な任務も乗り越えて行けるんです。

2020.04.152020.04.15
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★大山貴之さん(44歳・航空自衛隊百里基地/戦闘機パイロット・百里基地広報班長)

小学生の頃、兄と2人で見た映画「TOP GUN」。そのカッコ良さに魅了され、戦闘機パイロットに憧れたという、大山さん。その夢は次第に大きくなり、気が付けば、夢は目標に。現在は航空自衛隊の戦闘機パイロットとして、さらには、百里基地の広報班長として、日本の空の安全のため、国民の暮らしを守るため、日々、任務や訓練に励んでいます。

◆航空自衛隊の仕事

航空自衛隊は、日本で唯一の空を守る組織です。地上は警察と陸上自衛隊が、海は海上保安庁と海上自衛隊が守りますが、空は航空自衛隊のみ。日本の領空を守るため、航空自衛隊の様々な部隊が任務を遂行します。空を守ることに関してだけでも、4つの部隊が連携しています。レーダー等により早期に敵を発見・識別する、航空警戒管制部隊。高い能力で優位に戦う戦闘機部隊。各種作戦を広域的かつ持続的に実施するための空中給油・輸送部隊。地上からミサイルで対処する、地対空誘導弾部隊があります。その他にも、災害派遣、国際緊急援助、在外邦人輸送、国賓等の輸送任務もあり、さらに今後は、宇宙領域を専門とする部隊が、新たに新設される予定です。

このような多種多様な任務を遂行するためには、様々な職種が必要になって来ます。パイロットはもちろんのこと、要撃管制(365日、昼夜を問わず領空を監視し、接近や侵入してくる飛行機を早期に発見、識別)など、戦闘に直接関わるものから、航空機、レーダー、通信、車両などの整備や会計、給養、施設、補給など、基地や部隊の維持運用に関わるものまで細分化されます。さらに、大山さんも驚いたというのが〝音楽隊〟の存在です。音楽演奏を通じて隊員の士気を高揚させたり、国家行事などにも参加し、広報活動を行っているのです。

◆二つの顔

現在大山さんは、F-4EJ改戦闘機〝通称ファントム〟のパイロットとして、任務に就いています。主な仕事内容としては、『対領空侵犯措置任務』といって、警戒監視により発見された国籍不明機が、領空侵犯する可能性がある場合、緊急発進して対処に当ります。また、防空のために必要な戦闘訓練を、F-4EJ改に搭乗し、行っているそうです。ファントムに乗って約20年、日本の領空を守り続けているんです。

また、広報官としての顔も持つ大山さん。百里基地の広報班長として見学の対応、雑誌や撮影に対する取材対応も行います。さらには、SNSによる情報発信や、基地内広報展示エリアの維持管理も担い、航空自衛隊に対する理解と協力を国民から得られるよう、百里基地のこと、航空自衛隊のことを正しく発信しています。

◆様々な任務・用途に応じる各種航空機

航空自衛隊と言えば、やっぱり飛行機!子供心に憧れた戦闘機やヘリコプターは、大人になった今でも色焦ることなく、ずっとカッコイイまま!ここでは、多くは載せられませんが、詳しくは防衛省・航空自衛隊のホームページを見てみて下さいね!

戦闘機:F-35A、F-15J/DJ、F-2A/B、F-4EJ改

輸送機:B777、C-2、C-1、C-130H、CH-47J

練習機:T-4、T-7、T-400

空中給油・輸送機:KC-767

早期警戒管制機:E-767、早期警戒機:E-2C/D

救難捜索機:U-125A、救難ヘリコプター:UH-60J

多用途支援機:U-4、飛行点検機:U-125、YS-11FC

◆自衛官として

大山さんが航空自衛隊に航空学生として入隊したのは1995年の4月、今から25年前です。入隊するとまず最初に、基礎訓練と言って2年間、自衛官としての素養を養い体力強化を行います。学生時代、あまり運動をしていなかったという大山さん、この訓練がかなり辛かったそう。しかし、同じ志を持った同期と共に励まし合い、何とか乗り切れたと懐かしそうに語ります。

※航空学生とは、高等学校卒業者又は、中等教育学校卒業者(見込を含む)、及び高等学校卒業と同等以上の学力があると認められる男女を対象にした、海上自衛隊・航空自衛隊のパイロット等を養成する制度です。

入隊すると、心持ちも変わって来ます。非常事態が発生すれば、いかなる理由があろうと、任務に就かなければなりません。もちろん大山さんも緊急招集された経験があります。その時は、沖縄県那覇基地に勤務していて家族で休日を過ごしていました。しかし、茨城県の百里基地の管轄で対領空侵犯措置に当たらなければならなくなったのです。「対領空侵犯措置任務には通常、F-15、F-2、F-4の3機種が就いているのですが、F-15とF-2が揃って飛行の見合わせとなってしまったんです。」当時、首都防空を担う茨城県百里基地にて対領空侵犯措置任務に就いていたのは、F-15でした。そのため、沖縄県那覇基地のF-4が、日本の空を守るため、百里基地で対領空侵犯措置を実施することになりました。沖縄から茨城まで、ひとっ飛び!本当に凄いですね!私たちの生活は知らない所で守られていることを、改めて感じることが出来ました。

◆二つの想い

そんな大山さん、大切にしていることが2つあります。1つは『オンとオフをしっかり持つこと』仕事柄、常に危険と隣り合わせです。そのため、オフの時はしっかり休み、家族と共に過ごす時間を大切にしています。また、結婚した時に「出勤する時は、どんなに喧嘩していたとしても、仲直りをしてから来い」と言われた先輩の言葉は、14年経った今でも心に残り実行しています。自身に何かあった時、仲直り出来なかったことを思い出して、悲しみ辛い思いをするのは家族です。家族のためにも仲直りするよう、心掛けています。

2つ目は『慣れない』ことです。「20年同じ飛行機に乗っていると、慣れが生じて来ます。慣れると、時に正しい状況判断が出来なくなり、無意識に誤った操作をしてしまうことがあります。」空を飛ぶことは、一度として同じ状況の無い自然を相手にすること。その状況の変化を常に正しく判断し、対処する必要があるのです。大山さんは言います。「慣れで恐怖を感じなくなった時が、飛行機を降りる時だと…」

◆未来に向けて

今後は、ヘリコプターに搭乗機種を換え、災害発生時、緊急時等に人命救助や物資輸送を行いたいと考えている大山さん。2019年、台風19号において被害を受けた福島県に派遣され、県庁職員、消防、警察等と協力し、救助に当たったことで気持ちに変化があったのかもしれません。

小さい時から自分の好きなことを仕事にしたいと思っていた、大山さん。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、好きだからこそ、この仕事を続けて来れました。もちろん、両親や家族、同期、職場の同僚たちの支えには、感謝しても感謝しきれません。これからも日本のため、国民のため、そして自身の誇りのために、この責任感ある仕事を全うして行きます。

(取材・構成 内藤英一)

 

航空自衛隊には様々な仕事があります。きっと皆さんの好きな職種、分野もあると思いますので、興味のある方は是非、百里基地公式ホームページを見て下さい!また、百里基地広報班はTwitterでも百里基地の日常を発信しています。ぜひご覧ください。そして、フォローをお願いします。