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「テレビに出ることで、たくさんの人を元気付けたいんです。」

2018.05.232018.05.23
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ーーー永井祥子さん 33歳 鳥取県/鳥取市 鳥取市役所勤務

2017年12月……日本テレビ系列『女芸人No.1決定戦THEW』において、アマチュアながらも唯一、決勝進出を果たした〝押しだしましょう子〟さん。現在は 鳥取市役所 企画推進部 秘書課 広報室でキャスターを勤め、お笑い芸人と公務員という対極的な二足のわらじを履く、スーパーウーマンとして注目されています。

◆アナウンサーを目指して

子供の頃、たくさんの笑いと元気を貰ったことで、テレビっ子になったという、押しだしましょう子さん。学校から帰ると、楽しみにしていた番組を欠かさずチェックしていました。中でも情報番組が大好きで、見ていると不思議と気持ちが上向きました。

そんな小学生だった彼女が当時ひときわ夢中になったのが、女優の安達祐実さん。子役としてたくさんのドラマに出演していた彼女に親近感を抱き、本気で「友だちになりたい!」と思ったそうです。そのため彼女と繋がる方法を子供ながらに考え、安達さんが所属する事務所にタレントとして応募したこともありました。しかし結果は合否どころか、書類に不備があり事務所に届くことは無かったのです。さらに親に内緒で送った書類が郵便局から戻って来たことで見つかってしまい、タレントになることを猛反対されました。「それでも安達さんに会いたかったんでしょうね(笑)」私の熱意に根負した両親が、アナウンサーならばということで、この道を許してくれたんです。

最初は親に言われた選択肢ということで、アナウンサーを目指していた、押し出しましょう子さん。しかし、アナウンサーという職業を調べていくうちに、自らアナウンサーになりたいと思うようになりました。そのため学校では、放送委員をやったり、大学受験では4年制を目指すようになります。さらに時間が許せば前にも増して、情報番組を見てアナウンサーを研究し、日に日にテレビへの憧れも強くなりました。嫌な事があって落ち込んだ時、いつもテレビに励まされたという、押しだしましょう子さん。いつかそんなテレビに出て、自分も元気や勇気を与えたい。見る側から出る側へ気持ちが強くなって行ったのも、この頃でした。

◆憧れの舞台へ

アナウンサーになりたいと願っても、狭き門である上に、容姿端麗の才女が全国から集ってきます。その中で自分が残れるかといえば、自信はありませんでした。たくさんの採用試験を受けましたが、結果として全くと言っていい程手応えはなかったし、現実を突きつけられました。それでもなりたいという想いが勝ったのでしょうか?(笑)初めてNHKの松江放送局さんに契約キャスターとして採用された時は、本当に嬉しかったです。憧れの舞台への第一歩が始まりました。

現在は鳥取市役所でキャスターとして従事されている、押しだしましょう子さんですが、これまでもたくさんの職場を転々としてきました。松江局から始まり、長崎放送、そしてチューリップテレビでは念願のアナウンサーになります。よくアナウンサーとキャスターの違いを聞かれるのですが、簡単に言うと契約であるか、社員であるかということなんです。最初の松江局では、キャスターのいろはを教えて頂きました。声の出し方や目線、原稿の読み方……などなど。担当は夕方のニュース番組だったのですが、とにかく失敗ばかり(汗)原稿を上手く読めないのはもちろん、セリフを忘れてしまったり、散々でした。その度に叱られて、毎日凹んでましたね。それでもテレビに出ていることで、買い物なんかをしていると「祥子ちゃん大活躍だね!」なんて、声をかけられるんです。でも私は「いやいや、全然活躍してないし!」とか、心の中で思ったりして、ほんと街に出るのが辛い時期もありました。

契約キャスターであるという事は、終わりがあるということ。契約が切れれば次の活動場所を探さねばなりません。私はこれまで幾つかのテレビ局で活動してきましたが、本当に行く先々でたくさんの方にお世話になりました。中でもリポーターとしてお世話になった長崎放送さんは、初めて私にお笑いを意識させてくれました。それまでは、原稿を覚え忘れたり、セリフを噛んだりすることで叱られてたのですが、それも個性だと楽しんでくれたのです。「失敗もナシではないんだ」そう思うと気持ちも楽になり、自身もすごく楽しめました。とは言え、生放送のデパ地下リポートで原稿が飛び頭が真っ白になった時には、本当に終わったと思いました。(笑)

◆新たな出会い

自分の目指すアナウンサー像に近づくために、幾つかのスクールにも通いました。アナウンススクールでは、リポートの仕方やニュース読みなどのレッスンを受けました。特に目の前に急に出されたペットボトルのお茶をリポートしたり、お題を振られた話……例えば、馬にまつわる話を1分間して下さい。など、アドリブ力を鍛える授業は、私にはすごく役に立ちました。

さらに、より人を楽しませたい想いからマセキ芸能社さんのお笑いスクールにも通いました。この時は週1回の授業を受けに、鳥取から12時間掛けて通いました。深夜バスで東京へ向かい授業を受け、その日にとんぼ返り……翌朝の勤務には間に合わず、昼からの勤務にして貰っていました。講師の先生にネタを見せ、ダメ出しを持ち帰って必死に直します。本当にタフな生活でしたが、その甲斐あって〝女芸人No.1決定戦THEW〟の決勝に残れたことは本当に幸せなことでした。

◆少しずつそして着実に

現在、鳥取市役所でキャスターとして従事されている、押しだしましょう子さん。毎週金曜・土曜に放送されている『とっとり知らせたい!』では、キャスターを勤めています。さらに、番組のコーナー企画〝社長の魅力を押しだしましょう子〟では、自ら取材し原稿も書いて、社長の魅力を最大限に引き出せるよう、頭を悩ませています。コーナーの締めには毎回自作のコントを社長さんと演じるのも、番組の見どころです。

少しずつそして着実に、お茶の間に笑いと元気を届けている押しだしましょう子さん。そんな彼女の胸には、いつも心に留めている言葉があります。「自分がどう見られるのかではなく、テレビを見てる人を楽しませよう」これは、長崎放送時代に先輩から頂いた言葉です。当時自分の役目を果たそうとするあまり、ガチガチになっていた彼女にとって、救いの言葉でした。「本当に楽になったんです!」ただその分緩くなり過ぎて、ご迷惑もおかけしたんですけど(笑)

当面の目標は女芸人アナウンサーとして、情報番組のMCに就くことです。アナウンサーとして言葉を大切にし、裏方として番組作りの大切さも学んでいる彼女なら、近い将来たくさんの人を元気付けれるかもしれません。

 

(取材・構成 内藤英一)