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「本当に真面目なのかどうか、自分でもよくわかってないんですよ」。

2017.12.042017.12.04
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――今 悠さん(大阪府/21歳・ジェイアール西日本マルニックス勤務)

JR天王寺駅に隣接する商業ビル・天王寺ミオ本館には、毎日800個以上の荷物が届けられます。それらは各運送会社がテナントに個別配送するのではなく、ジェイアール西日本マルニックスが一括管理。館内物流を統括することで、徹底した業務の効率化が図られています。同社でアルバイトスタッフとして従事しているのが、今悠(こん はるか)さん。バイト歴約3年あまり。今や同社になくてはならない、若手ホープとなりました。

 

◆周囲のスタッフに気を使う姿勢に好感

天王寺ミオ本館。あべのエリアのファッションの草分けとして1995年に誕生以来、ファッションフロアを中心に多くの若者でにぎわっています。今さんの職場は、地階のバックヤード。ひっきりなしに貨物車両が出入りし、まさに館内物流の拠点。同じ世代の若者がフロアでショッピングを楽しんでいる時も、今さんは館内物流を支えるひとりとして汗を流しています。

それぞれの運送会社の車両が到着すると、場内はにわかに慌ただしくなります。荷物を受け取ると手早くフロアごとに仕分けされ、数人のスタッフによって各テナントへ。取材の最中も次から次へと車両が入り、そのたびに「あ、ちょっと待ってくださいね」と話を遮り、小走りに搬入口へ向かいます。アルバイトでありながら、周りに配慮しつつ仕事をおろそかにしない姿勢に、とても好感が持てました。

 

◆人材派遣会社との運命的な出会い

今さんが初めてアルバイトをしたのは高校2年生の時。事務の仕事だったり解体の仕事だったり、いずれも短期でした。高校卒業後、正社員として倉庫関係の仕事に就いていた際、「会社から守秘義務について色々教わりました」。そのせいでしょうか、話題が深みに及ぶと、「その先はちょっと言えないんです」という返事が多かったのが印象的でした。律儀で忠実、そして約束はきっちり守る。そんな性格なような気がしました。

前のバイトを辞め、やることがなかったある日。友人から小耳に挟んだのが、サンレディースという人材派遣会社でした。登録のために天王寺支店に出向いた今さんを待っていたのは、同社の向井輝夫さん(現難波支店支店長代理)でした。「即決でした(笑)。たまたま欠員が出たということもありましたが、この子なら責任感も強そうだったので、どこへ派遣しても大丈夫だと確信しました。まさに運命的な出会いでした」。登録から1週間も経たないうちに、今の職場に決定。あの時、向井さんとの出会いがなかったら、今さんが力を発揮できる職場はなかったかも知れません。

 

◆勤続1年を機に派遣から直雇用へ

職場では最年少の今さん。同年代はほとんどいません。そのせいでしょうか、職場ではスタッフみんなが、兄であり先輩であり父親でもあり。「安全には気をつけるようにと、よく言われます」。仕事より何より、まずは安全第一。そんな親心満載の職場は、文句のつけようがありませんでした。今まで、長くても3カ月で辞めていたバイトでしたが、気がつけば1年を経過していました。

長く勤めれば、健康保険や厚生年金なども気になるところです。「そういうこともあって、派遣が期間満了になったのを機に、直雇用を勧めたんです。もちろん職場は今のままで」(向井さん)。その結果、それまで親代わりだった向井さんから、新たに乾浩一さん(ジェイアール西日本マルニックス 梅田支店長兼OSC営業所長)に引き継がれることになったのです。双方がともに、今さんの将来を考えての判断でもありました。

◆契約社員そして正社員へ

「いやあ、評判通りよく働いてくれます」と乾さん。今さんの腕を見込んで、一時的にJR大阪店へ配送スタッフとして応援を要請したこともありました。周りのほとんどの評価は、「若いのに真面目」だという点。「と言われても、自分ではよくわかってないんです(笑)」。

今年11月、今さんは現在の職場でまる2年を迎えました。生活も少しずつ変わり、現在は一人暮らしを実践中。「仕事から帰ったら真っ先にすることが洗濯」で、計画的な生活かと思いきや「給料はほとんど食費に消えてしまいます(笑)」という意外な一面も。

来年4月には契約社員に。そして毎年2月に行われる正社員昇格試験にも、照準を定めています。「まだ2年ありますけどね(笑)」と屈託のない笑顔の今さん。もしかしたら、その頃には後輩ができているかも知れません。自ら培ってきたバイト経験を踏まえて、先輩社員としてどのような手腕をみせるのか、そんな将来も今から楽しみです。

 

(取材・構成 池田厚司)